開けてビックリ

現場別に。

  • 照明器具の機種選定

「流し元が暗い」というのは父の勘違いだった。「昨日大まかに機種選定しとくべきだったな」と思いつつ、カタログ片手に出向いたら、こういう展開。

夏に「シルバーボール電球」を入れた食卓のペンダントが暗いから、やっぱり交換して欲しい、と。で、ここの主人が入院している最中、病院で見かけた照明器具が気に入った、とのことで、わざわざ紙に書いて説明なさった。「四角くて、白いカバーが付いてて、棒形の蛍光灯が5本くらい入ってる奴で・・・」これが相手の意見。
病院ということは、多分施設用の器具。おそらくこういう奴だと思うが。


そこで「そういうタイプの器具でしたらこの辺ですね。同じ器具があるかも知れませんけど、施設用となる高いんですよ。」と、住宅照明のカタログを出して解説開始。20Wの直管蛍光灯が4〜5本の器具。最近は「ネオスリム」やら「ツインPa」のようなスリムタイプの丸形蛍光灯が主流になっており、四角い器具はあんまり流行ってない。

カタログすら持っていかない父に「おまかせ」すると、もれなく、20年前には少なくともカタログに載っていたと思しき、グロー式の昔ながらのシーリングライト(こんなのとかこんな奴)が付くが。で、電材屋に発注を入れるときも「20ワットの5灯用のグロー式の奴」と、品番を指定せず発注するという荒技。


流石に俺は、相手の意見を最優先に、最後まで納得のいくかたちで機種選定をしたい所。

以下、俺と顧客との対話。

俺Q「豆電球の切り替えとかはできたほうがいいですよね?」
客A「うーん・・・食卓の上だからいらないなぁ」
俺「でも一応標準装備なんで・・・」
客「そんだったらそれで・・・」


俺Q「紐の付いてる奴にします?」
客A「ないほうが邪魔にならなくていいね」


俺Q「ではリモコン付きで・・・?」
客A「リモコン?どういうことなの?」
俺「テレビみたいに、こうやってピッピッと操作できるんですよ。(カタログのリモコンの写真を出して)これです。」
客「おぉこれは便利そうだねぇ。じゃあ付けてよ。」


俺「わかりました。ではこちらは如何でしょうか?」
客「うーん・・枠の茶色がちょっと気にくわないなぁ・・・白い奴ないの?」
俺「(カタログをめくりつつ)えーと・・・あ、これなんかどうでしょう?」
客「いいじゃない。頼むよ。」
俺「ありがとうございます。ではこのペンダントの所に付けましょう。あ・・・この換気扇と干渉しそうですね。ちょっと下見させてください」


車からメジャーを持ってきて、器具中央予定位置から換気扇までの距離を測る俺。
俺「大丈夫ですね。ここにこういう感じで・・・」
客「なるほど」
俺「ありがとうございます。近いうちに発注をかけますので。お値段のほうは、定価で工事代サービス、ということで・・・」

大体、照明とかの現場はこういう感じで機種選定している次第。いきなり相手にカタログをボンと差し出して「さあお選び下さい。」ではあんまりだし、逆に、カタログを持っていかず「全てこちらで最適なものを決めますので・・・」でも、駄目だ。このやり方にはそこそこ、自信がある。

家に帰ってきてびっくり。全く問題ないと思っていたこの照明器具だが、「FHF24」なる、日本では殆ど普及していないランプを使う器具だったりしたわけで。他に視野に入った器具も「ネオスリムZスクエア」なる、東芝以外でやっていない特殊なランプを使う器具になるが。で、シーリングライトによく用いられている直管形ランプとなると、大昔からの大定番「FL20」になるが、これだと、リモコン付きの器具の設定がない。昔はあったが。

ここで、電気屋の良心が表れると個人的には思っている。特殊なランプを使う器具を現場に付けちゃったり、天井の高い部屋に重たいガラス製のカバーが付いたシャンデリアを付ける、などというのは、後先を考えていない、というか。


とは言いつつ、相手の条件を満たす器具はこれしかないので、仕方ないと思っていたりする。さらに言えば、ネオスリムZスクエアよりはFHF24のほうがメジャーだからいいか、とか、微妙に自分を納得させていたりも。




で、ここの現場ではもう一件、仕事をもらった。これが現在の悩みの種。
電話。現在使っている松下のコードレス電話が壊れたとかで、一番使用頻度の多い子機の発信ボタンが言うことを聞かない、という。で、「買い換えたい」と。

そこの主人曰く「NTTの奴が壊れないらしいからそれにしたい」とのことだったが、あいにく「うちはNTTの製品はやってないんですよ・・・」と断った次第。「実際の所、NTTの製品も中身的にはパナソニックとか三洋と一緒なんですがね。」とも斬った。
父が言うには、以前からこのコードレス電話はトラブル続きで、あまり良くなかった、とか*1


一応軽く「配線を引いて標準電話機にするという手もありますが・・・」と示唆した。何せ、同じようなコードレス電話を持っていったところで納得して貰える筈がない。ましてパナソニックの奴となると、尚更。
うちの場合、一応電気屋だから、アフターを見られるのは必然的に電気系メーカーのみとなる。以前は家電の主要各社、AV機器系メーカーも参入していた小電力コードレス電話機だが、今や松下、三洋、シャープ、パイオニアのみ。ただしうちの場合、シャープ、パイオニア製品の不良で過去に痛い目に遭った経験もあり、安易に取り扱いたくない、というのが正直な心境。一応、松下と三洋に絞り込む予定。

と思っていた矢先。松下では「特大受話音量、大きなボタンの増設子機」があるようで。これなら勧めやすいじゃないか。いわば、固定電話版「らくらくホン」。



しかし、同じようなコードレス電話にしたところで結果は目に見えている。そこで思い出したのは、「ホームテレホン」という電話機。バブル期前後は結構人気があって、いわゆる「HA」として多数導入された。基本的に、電話機が最大6〜8台、外線が1〜2本入れられ、外線、内線通話、転送等が可能な「親子電話」。見た目が「ビジネスホン」風なので持って行きやすい、とは思ったが、コードレス電話の普及や、ADSLISDN導入のさいに少々手間がかかる、等の理由で完全に廃れきって、今や各社絶版。かろうじてNTTの奴(田村電機(サクサ)製)が残っているが、うちでは提供することなんかできない。
パナソニック システムホームテレホン208」が残っていれば・・・


検討の結果、松下のビジネスホンで一番手頃、小規模なタイプ「308J」を入れてはどうか、ということになった。が、こちらでは機器選定、予算計算等に大変な手間もかかり、配線も大がかりになる。それに、あそこの家にお住まいになっているのは老夫婦。ビジネスホンを使いこなしていただけるかどうかも微妙な所だし、難しすぎるのではなかろうか、と思う次第。

一応、松下と三洋のコードレス電話のカタログを持参してみるつもりだけど。

  • ダウンライトの工事

現場中真っ白にしてしまった。これは道具が不備なため。ダウンライト用のカッターを用意したい所だが、用意するほどの現場数もない。開けてビックリ、心材が入っていたりしたが。何とかかんとか、それを少しだけ削って逃げることには成功。

相手にはかなり気に入ってもらえた。実際自分でも、点灯してみて「おっ、こりゃあイイぞ」と感じたほど。自分の部屋の照明をいつかリニューアルして、ダウンライトにしたいと思っていたが、これを見てさらに構想(妄想とも言う)が加速。

昼までご馳走になった。純粋に、ありがとうございました。


余談だが、その現場に元々付いていた器具。

至って平凡、よくあるタイプの蛍光灯器具だが。注目すべきは、中央の固定ナット。




これでメーカーはお解りであろう。「この木何の木気になる木♪」の、あそこである。


このロゴマークを、このナットに昇華させるというデザイナーのセンスに敬服したい。素晴らしいデザインだと思う。

*1:トラブル、というか、父が伺った際に「操作方法を教えてくれ」と質問されていた模様。しかし父は対応できず、「最近のは機能が多すぎるから壊れやすい」などと貶していただけらしい。夏に俺が行ったときにも「内線のやり方を・・・」と聞かれ、解説した次第。製品に非はないんだが。