先進性とは。

トヨタ「アリスト」。今はレクサスGSと名を変えたが。高級スポーツサルーンであり、世界戦略モデル。


初代はクラウンをベースとし、平成3年に登場。ジョルジェット・ジウジアーロの手に委ねられたスタイリングが絶賛されているが、個人的には「そうか?全然良いと思わないが?」と思っていた。が、今日、あるきっかけで、見直すことになった。



そんな初代アリストと、「ゼロ・クラウン」こと現行クラウンが、交差点に並んでいた。俺は思った。「何だ、アリスト、ゼロクラと互角以上のスタイルじゃないか」と。


ゼロクラ自体、結構デザイン的な評判も良く、個人的にも、クラウンらしさの中に斬新さがあって悪くない、とは思っていた。ちょっとベンツ臭いのが玉に瑕だが、これは和製高級車全てに言えること。シーマもセルシオも、「偽ベンツ」だし。

余談だが、個人的には「アスリート」や「現行セダン」「クラウンコンフォート」は「クラウン」としては認めていなかったりする。クラウンは「ロイヤル」こそがその姿だと思うわけで。150系までのセダンや、130系まで設定されていたステーションワゴン、バン(マスターライン)もクラウンとは認めているけど。
「マジェスタ」の場合、特に150、170系の縦長テールによる独特な存在感、純和風な内装など個人的に大変好みで、乗りたいくらいだが、「クラウン」として認めているか、というと、微妙。


本題に戻して、アリストとゼロクラの比較。正直、アリストのデザインはとても15年前の物とは思えぬほど陳腐化しておらず、ゼロクラと互角以上に勝負できる先進性が備わっていると思った。いや、アリストの方が洗練されてるか。

アリストでも、低められたノーズにハイデッキのテールというウェッジシェイプを描いており、この点、平成3年当時、直線、水平基調のデザインが多かった和製高級車界への衝撃は計り知れないものだったのかも知れない。
この手のデザインは本来ならスポーツカーに与えられる処理で、セダン、それもビッグセダンに与えられた例はあまりない。アリストの場合、気品のなかにスポーティーな感覚を出している点は素晴らしいと思う。ハイデッキでありピラーも立っているため、トランク、室内の広さや実用性もなかなかのものではないかと推測できる。


初代アリストも生産終了から時間が経ち、そろそろ下品な仕様が増えてくる時期だが、ノーマルの美しさを忘れないで欲しいねぇ。