容易かった。

午前9時、まず最初に、照明器具の方のお客さんの所に行った。

台所の方だが、シルバーボール電球は大好評。思ったよりも雰囲気は良いし、直下の明るさは格段に向上していた。ついでに、今度トイレを改装する、ということで、そちらの照明も工事して欲しい、ということになっている。


父からその話を聞いたので、「照明だけ?換気扇は付けないのか?」と聞いた。てっきり忘れてた、と。駄目じゃないか。父の場合、自宅を建てたとき(約20年前)、「水洗トイレなら臭いも少ないだろう」と、トイレ内に換気扇を付けなかった、という重大な罪を犯しているが。「うちの二の舞かよ」とツッコんでおいた。
「どんな換気扇にすれば・・・?」ということで、軽く打診。「トイレならパイプファンで良いべ。」と言ったが、父、パイプファン、がどのような換気扇かよく理解できない模様。カタログを見せたら「ああこの奴か」ということになった。一応、俺がその場で軽く、三菱のカタログを使って機種選定。


で、現場。どうも微妙なプライドがありそうな大工。軽く困りそうな予感。だが、少しは心を開いてくれた模様。何せ、その大工からエアコンの修理依頼まで来たのだから。大工曰く、以前他の電気屋に見て貰ったら4〜5万かかる、と言われ、広い部屋の高いエアコンだから買い換えも高いし・・・と躊躇していたとか。



問題は現場だ。高齢化に備えて部屋の近くにあった古い便所を直してまた使う、ということらしいが。てっきり水洗にするのかと思いきや、何と汲み取り。他の場所に新しい便所(水洗)を増築して以来使っていない、とのこと。大工仕事が既に入っており、壁はない。床は仕上がってる。

裏を覗くと、「トーヨーサッシ」のインチキ無臭トイレ。今のトステムか。その傍らには、「Nishiura」マークの半穴便器も投げてある。元々付いていた照明器具(松下電工製)の製造年の表示から察するに、72年頃に工事された現場っぽい。


簡易水洗にするのかな、と思ったが、そうでもない模様。大工曰く「水洗便器を付けたら便槽がすぐいっぱいになる」と。



臭突には脱臭扇が既に付いている。一応回ってるし、見た目も綺麗。何気にツインターボ状態だし。ついでにヒーターも付いてるが、ヒーターの電源は抜いてあった。その傍らには、ヒーター用に設けられたと思われる、使われていない年代物の防水コンセント。確認すると、一応電源は来てる。俺が「この脱臭扇も交換しましょうか?」と打診すると、交換しなくて良い、ということになった。

今にして思えば、脱臭扇も交換も強く勧めておけば良かったかな。「漏電の危険もありますし、このさい交換しましょう」とか。ほぼ「お任せ」状態だったし、今から発注して交換の方向にしちゃうか。



「室内にも小型の換気扇を付けますけど、汲み取りだと逆流して室内が臭くなることがあるんですよ。スイッチを付けておきますから、臭かったら止めていただければ大丈夫です。」とも忠告。


「照明器具はどうします?」ということで、一応相手は「任せるよ」とは言っていたが、それでこっちが全部やるわけにはいかない。「トイレだとそんなに長居しませんよね。それなら白熱電球で・・・」ということになった。で、そうこうしていると、お客さんから「ちょっと見てほしい」と、新設された方のトイレに案内された。「これと同じような奴がいい」と、照明器具を指している。日立製だが、このタイプの器具。「これなら同等品があるんで、それにしましょう」と、照明器具決定。

最後に、スイッチ。いわゆる「フルカラー」と「コスモ」だ。両者の写真を見せ「こちらの大きいタイプと小さいタイプ、大きい方が少し高いんですが・・・どちらにしましょうか?」と見せると、「これからは大きい方がいいねぇ」と、コスモを気に入られた様子。ここも決定。



父が言うには、「あの人は『おまかせします』が多くてやりにくい」とのことだったが。何だかんだ、全然そんなことはなかった。こちらの提案も聞いてもらえるし、意見交換を通じて仕上がりのイメージを把握することができた。こちらとしては、最後まで納得してもらえる形態で仕事をしていきたいと思っていたけど、ほぼ、そういう形態でできた。


工事の方は、壁がないうちにスイッチボックスを設け、電気配線を準備することになった。現状でも配線は来ているから、それほど難しくもない。しかし、外の防水コンセントは悩まされた。元々の壁の上にトタン板を張ったみたいで、トタンを張った業者が防水コンセントの上まで張っちゃってある状態。俺が防水コンセントを外すことになったんだが、とても外せなかった。父は何気に、手慣れた様子で外してしまったが。この防水コンセントは大変な年代物のため、後日交換予定。他には、パイプファンの○穴を開けたり。俺がやった仕事は、防水コンセントと既設のスイッチ(ハイ連)の取り外し。他にも配線を引き回したり。



その後、昼休みを挟んで、食卓のペンダントの移設を行った。最初は器具の交換、ということだったが、シルバーボール電球を用いたところ十分な明るさとなったため、交換しなくても良い、ということになった。で、食卓中央に移設。心材の有無を確認するため、食卓上にある天井埋込型換気扇を外し、内部を覗くことになった。
何気に父親、天井換気扇の組み込み手順をいまいち理解していなかったが。換気扇を分解することになったこともあり、お客さんに「ついでだからお掃除していただけると良いですよ」と、掃除してもらった。


しかし父は不作法というか何というか。食卓中央の照明器具なわけで、食卓の上に布を敷いて、その上にハシゴを乗せて工事に入ったんだが、食卓の布を敷いてない上に素足で乗ってみたりとか。穴開けも工事のうちに入るために、掃除機(こちらから持参)を当てて切りくずを吸い取ろうとしたんだが、掃除機で全然吸えず、食卓をゴミだらけにしたり。
結果、俺が丁重に詫びて後片付けをすることになった。しかも、片付けが終わる前に「これで終わりです」と言ってやがる。片付けが終わるまでが工事だと思いますがねぇ。





その次、例のインターホンと換気扇のお客さんの所へ。納期が間に合わなかった、ということで、Y10の車内で「どう応対しようか・・・」と悩んだが、換気扇だけでも、ということで、交換予定だったインターホンのボタンを押した。
お客さんは全然「別に良いですよ」ということで応対してくださったが、あくまでこちらは低姿勢。換気扇だけは間に合ったため、俺が設置。

元々付いていたのは、松下の15年位前の機種だが。やはり寿命の末期だった模様。先日はモーターが固着しただけだったが、今回は電動シャッターがだらしなく開きっぱなしになっていた。早速外して、東芝の機種に交換。東芝、ということで難色を示されるかと思ったが、そういう様子はない。
交換後、「お、すごく静かになったね」「前まで換気扇の音が耳障りで、気になってたんですよ。丁度良かった」「本当に回ってるの?」と、喜ばれた次第。流石に、静かさNo.1なだけあると思った。シャッターが閉まるときの音も静か。

しかし東芝の換気扇、薄いし設置も楽だった。内部で電線をうまく処理できるようになってたりと、感心する部分、多数。ワンタッチの羽根も最高に楽。ちょっと造りは悪いけど。ホームセンターで売っている安物の換気扇とは大違い。



その後、お客さんに「こちらが説明書と保証書なんで、大切に保管してください」と渡そうとしたら、「あ、いいよいいよ。壊れたら呼ぶから」と言われたわけで。


個人的にこの言葉、最高に嬉しかった。「壊れたら呼ぶ」、すなわち、長くつき合ってくれる、ということなわけだ。涙が出てきそうになったよ。




そんで、これが終わって自宅に帰って、発注する品物の品番を纏めて・・・おこうと思ったら、某友人が自宅に来た次第。