言葉の定義。
スペシャリティーカー、スポーツカー、スポーティーカー。この3つの言葉って、凄く判りにくいと思うんだよね。メーカー自身も判っていないみたいだし。
自分なりに、これらの言葉の定義について語ってみる。
- スペシャリティーカー
スペシャルティーカーとも言うかも知れない。基本的には、雰囲気を味わう車、と考えている。「走り」よりも、流麗なスタイルとか、豪華な装備とか、そういう所を狙う傾向が強い。
代表車種:セリカ、ソアラ、ギャランΛ、コスモ、ロードスター、アルシオーネ、ピアッツアなど
- スポーツカー
走りに徹したモデルと捉えている。「気品あるデザイン」とか、「ゴージャスなインテリア」とかは狙っていない。グレードでエンジン差があるとか、同一プラットフォームでライトバンがあるとか、そういう車種は少ない。メカ的に凝ったモデル多し。簡単に言えば「スパルタン」なモデル。自分としては「ピュアスポーツ」なモデルしか、認めない。
- スポーティーカー
スポーツしすぎているわけでもなく、実用性もあるけどそこそこ走れる車、ではなかろうか。同一車種でジェントルな乗用グレードがあれば、これだと思う。4ドアのスポーツセダンとか、ワゴンでも滅茶苦茶拘ってるモデルとかが多い。家族を大切にしたいけど走りたい、そんなパパの味方。
代表車種:スカイライン*2、アルテッツァ、レビン/トレノ、レガシィ、インプレッサ、インテグラなど。昔のブルーバードとかカリーナもそう言えるかも。
代表車種の選考にあたっては、相当に迷った。一部、えらくメジャーな車種が抜けているが、以下についてまとめる。
・シルビア/ガゼール/180SX
本来はスペシャリティーカーとして誕生したシルビア。初代(311系)は、美しいクーペボディを纏った、国産初のスペシャリティ。2代目(S11系)もそうだし、ガゼールが登場した3代目(S110系)はそれの極み。雰囲気の良いインテリアとか、上品で先進的なスタイルが売りのスペシャリティ。4代目(S12系)はスポーツっぽい傾向に振ったが、5代目(S13系)は、プレリュード潰しの「刺客」として登場したスペシャリティーカー。
だがS13はFRのため、走り屋にウケちゃった。これがシルビアを狂わせた最大のターニングポイント。
S14系でボディが3ナンバーになったけど、これは日産自身が、シルビアを「スペシャリティーカー」だと認識していたせいだからだと思う。前期の眠そうなフロントマスクとかも、「スペシャリティーカー」として見れば悪くない。でも、スポーツカーと勘違いされたせいで・・・
そしてS15では、ピュアなFRスポーツに転身。だが時代は既に・・・
シルビアは「スポーツカー」じゃないんだが。
・スカイライン
最初はプリンスの高級セダンだった。後に、兄弟車「グロリア」が登場し、スカイラインはダウンサイジング。当時の競合車は、トヨペットコロナとダットサンブルーバード。排気量は1.5だったし。
この段階ではスカイラインはあくまで「ファミリーカー」で、決してスポーツカーなんかじゃなかった。GTはあくまで「特別なモデル」。今で言うランエボとか、インプWRXのようなもの。路線は違うが。
しかしハコスカまではファミリーセダンでもあったが、日産に吸収され、開発にも日産色が強くなったC110系(ケンメリ)では、6気筒の「GT」を主力車種とし、ローレルと兄弟車になった。これは、当時日産の看板車種であったブルーバードとの競合を避けるため。
これから、スカイラインは6気筒の高級車になり、R30では「RS」でスポーツカーにもなっていく。
プリンスが残っていたら、スカイラインは普通な親父セダンになっていて、80年代にはFF化してたんだろうなぁ、と妄想。
・フェアレディZ
本来の生い立ちや、Z31系までの傾向を見ると、どちらかというとラグジャリーな傾向に振ったインテリアなど、「スペシャリティーカー」と言える要素が強い。でも、Z32系はバブルの乗りでスポーツカー的に振った模様。Z33系でも、その余韻を感じる。
どちらかというと「スペシャリティ」なクルマだと思うが。
・CR-X
これは本来、「燃費の良いシティコミューター」を目指して作られたクルマで、スポーツカーでもスペシャリティーカーでもない。で、燃費のためにボディを軽くして、無駄な後部座席を簡略化したら、走りもハンドリングも良くなったという結果。バラードCR-Xの段階では廉価グレードもあり、本来のコンセプトを伺わせる。
しかし前述のように走りも良く、軽く、形もスポーティーだったため、CR-Xは走り屋にウケちゃった。当時「テンロクスポーツ」結構流行ってたし。CMでも「ふたりのFFライトウェイトスポーツ」と言っていたあたり、実はスポーティーカーだったのかも知れないが。
そして、2代目の「サイバーCR-X」では、完全にピュアスポーツに転身。一定の成功を収める。だが、3代目ではオープンボディを纏い、「デルソル」のネームを付け、コンセプトを刷新。これ、ロードスターに対抗するつもりだったのかな??
・スタリオン、GTO、FTO
三菱の狙いは「スポーツカー」なのかも知れないが、要は「スポーツカーの着ぐるみを着たギャランやミラージュ」なわけで。ギャランやミラージュでも「VR-4」とか「サイボーグ」があって、十分にスポーティーな一面があるけど、どことなく「子供騙し」感が・・・
だから、代表車種には入れなかった。雰囲気、という点では「スペシャリティーカー」なのかも知れないが。
・スープラ
これも当初は「スペシャリティーカー」だったんだけど、2代目は「スポーツカー」のつもりかねぇ。でも、「子供騙し」感が・・・
・プレリュード
立派なスペシャリティーカーなんだけど、4代目で突如路線変更。これも曖昧だなぁ。
メーカー自身も、うまい位置づけの仕方をよく判っていないようで。最近このカテゴリは壊滅状態だけど。スペシャリティとしての王道を驀進しているのは、ソアラ(改め、レクサスSC)くらいか。オープンになったけど、これだって、立派なスペシャリティ装備だよね。あと、ロードスターも一定の地位を確保している。
スポーツカーとしては、RX-7がうまいと思う。RX-8を後継車として考えるかは微妙な所だけど、しっかりピュアな一面を持ちながら、家族も乗れる、というのは素晴らしい。